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開催報告

平成30年度 第3回都医学研都民講座 (平成30年7月4日開催)
iPS細胞を用いた疾患研究・治療法開発の最前線

再生医療プロジェクトリーダー宮岡 佑一郎

宮岡研究員と林 洋平先生

一橋講堂において、国立研究開発法人理化学研究所 バイオリソース研究センター iPS細胞高次特性解析開発チーム チームリーダーの林洋平先生を講師にお迎えし、第3回都医学研都民講座を開催しました。隣同士の研究室に留学していた林先生とこのような機会を持てたことを、とても嬉しく思います。

まず、林先生から、「希少疾患患者由来iPS細胞の活用」と題してお話しいただきました。全身の筋肉等が骨になってしまう、進行性骨化性線維異形成症(FOP)患者由来iPS細胞を用いて探索した治療薬の、iPS細胞創薬としては世界初となる治験や、ドーナツ状の環状染色体を持つ患者由来のiPS細胞を作製する際に、自律的に環状染色体が消失し、代わりに正常の染色体が倍加する機構の発見など、最新の研究成果を発表されました。

続いて私から、「iPS細胞のゲノム編集による遺伝情報の改変」と題してお話ししました。異なる人から樹立したiPS細胞は、その遺伝的背景の相違から比較が難しいという問題が、iPS細胞による疾患研究の障壁となっていました。そのため、 健常者由来iPS細胞のゲノム編集により、病因となる遺伝子変異を導入して研究する方法が進んでいることについて、遺伝性心筋症を例にお話ししました。また、患者由来iPS細胞の持つ変異に修正や改良を加え、それを患者の身体に戻す再生医療研究についてもお話ししました。

質疑応答では、実験内容や研究の倫理面など、かなり突っ込んだ質問があり、iPS細胞に対する人々の強い関心を感じ、研究を行う自分の身が引き締まる思いでした。私達の研究内容を、みなさんにお伝えできる素晴らしい会であり、誰でも参加可能で、都外からも多くの方がいらしています。今後ともたくさんの方が参加くださるように発信していきたいと思います。

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