Oct. 2018 No.031
難病ケア看護プロジェクト 主席研究員小倉 朗子
平成27年1月に、「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称「難病法」)が施行され、今年で4年目となります。この間、国としての施策の具体化、そして各都道府県等における施策・制度・しくみづくりが急ピッチですすめられてきましたが、目下それらの取組は進行中といっても過言ではありません。そのようななか、各都道府県および保健所を設置する市や特別区の保健師のみなさんが、夏のセミナーに参加されました。
保健師のみなさんは、難病患者のみなさんが療養や生活において直面する課題を、地域で活動する行政の医療職として把握し、対策を考え、まさに都道府県等における難病の施策・制度・しくみをつくる、大変重要な役割を担っています。
プログラムは、国や都道府県における難病施策、各地域における難病保健活動に関する実践報告、難病保健活動に必要な知識や技術の習得に関する講義や演習で構成しました。実践報告では、地区活動を通じて把握された課題と、課題を解決するための「難病対策地域協議会」の実施報告もしていただきました。また「難病患者さんの災害時対策」の取組についても共有し、当プロジェクト所蔵の、人工呼吸器使用者の災害時対策にかかる資料や機器・器材(携帯型発電機、足踏み式吸引器、停電時の人工呼吸実施に必要な蘇生バック等)もフルに活躍しました。
演習では北海道から沖縄までの、全国から集まったみなさんが、日頃の活動資料を持ち寄り、活動の方向性を討議し、また同時にたくさんのことを語らい、自治体のわくを超えた保健活動のネットワークもつくられました。
セミナー後のアンケートでは、参加されたみなさまが「今後の活動に役立つ」、「今後やってみたいことができた」との回答で、受講生のニーズに即したセミナーであったことが評価されました。
「難病患者のみなさんの療養環境整備・地域ケアシステムに資する研究」は、プロジェクトにおける研究課題のひとつであり、この研究成果の普及交流を目的とする夏のセミナー継続の必要性をあらためて痛感しました。
「難病になっても、尊厳をもって、安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができることをめざす」これは「難病法」の理念です。
夏セミ御参加のみなさまと私たちのネットワークも継続・強化し、難病をもつみなさんに安心して生活していただけるケアシステムの実現をめざして、今後も活動していきたいと思います。
最後になりましたが、多くの外部講師等の先生方にご指導、ご協力をいただき、また「難病ケア看護プロジェクト」オールスタッフで総力をあげての企画ならびに運営により、本セミナーを無事終えることができました。すべての皆様に心より御礼申し上げます。
※受講生:65名 (他6月12日公開プログラムの参加者:計130名)
会場の様子