Oct. 2018 No.031
神経病理解析室 技術研究員小島 利香
7月30日から4日間、神経病理ハンズオンを開催しました。今年も講師は神経病理解析室の新井信隆副所長が4日間を通して務められました。神経病理ハンズオンは、旧研究所の時代から数えると今年で44回目になります。その間、神経変性疾患の病態理解が蛋白レベルで解明されたり、昔はなかった新しい疾病が生じてきたり、神経疾患の疾病構造も時代の変遷とともに変化してきました。染色法も新規のものが加わり、正しい診断に導くためには検体の固定法や染色法のクオリティーコントロールが前提であり、その詳細なレクチャーを初日にスタッフの関絵里香(神経病理解析室、以下敬称略)が担当しました。
実習形式も顕微鏡のみでの供覧の時代を経て、数年前からはデジタルパソロジーも導入するなど今日的な姿に変貌してきており、脳神経病理データベース内に受講者用のデジタル学習ルームも作成して学習効果の向上をはかりました(デジタルパソロジーコーディネーターの植木信子、八木朋子が担当しました)。
対象疾患はほぼ全てのカテゴリーにわたり、92疾患を4日間で供覧するハードな内容です。頭部外傷については、外部講師の原田一樹先生(防衛医科大学法医学准教授)にレクチャーをしていただきました。
受講者は神経内科、精神科、病理、法医学、神経科学から、また、職層としては、研修医から教授まで、幅広い人材が参加されました。神経病理に関しては初学者が多かったですが、それぞれの専門性との神経病理の出会いがスタッフの刺激にもなりました。受講者の皆様の今後のキャリアアップに少しでもお役に立てれば嬉しく思います。