Jul. 2020 No.038
神経病理解析室が作成している神経病理eラーニング Essential Brain Anatomy & Neuropathology が Digital Pathology Association、The International Academy of Pathology 等で紹介されました。
神経病理解析室長新井 信隆
光学顕微鏡がないとガラス標本中の正常像や病変を観察 することができない時代は終わり、最近10年の間に、バーチャルスライドスキャナーでデジタル化した病理画像をモニターで観察し、診断や研究を行うデジタルパソロジー (DP) 時代に突入しています。さらに、アメリカ食品医薬品局(FDA)が2018年に、バーチャルスライドスキャナーを医療機器として承認したことにより、全世界的にDPが脚光を浴びています。
神経病理解析室は、このような新しいDP時代を牽引すべく、様々な神経疾患のガラス標本をデジタル化したデータを加工して専用ウェブサイトサーバに搭載し、インターネット網でユビキタスかつグローバルに閲覧できるシステムを作成・運用しており、平成28年度には、「世界をリードする脳神経病理データベースの構築」という職務発明に対して知事表彰、福祉保健局長賞をいただきました。
神経疾患の画像データの種類や数は極めて豊富であり、特に、海外向けの英語版DPコンテンツであるEssential Brain Anatomy & Neuropathology (https:// pathologycenter.jp/english/en_index.html) は極めて充実しており、DPを勢力的にリードしている国際学術団体のDigital Pathology Associationのウェブサイトにおいて、優秀な Whole Slide Image Repository として、紹介されました。また、各国病理学会の上部組織である国際病理アカデミー(The International Academy of Pathology)や、国際神経病理学会(The International Society of Neuropathology) のウェブサイトやFacebookなどにおいても、トピックスとして取り上げられました。現在、世界中の国や地域のドクターや研究者から、約300件のアカウント発行申請があり、月間約 70,000 のページビューがあります。
作成スタッフは、ニューロヒストテクノロジー(関絵里 香、小島利香、江口弘美)、デジタルパソロジーコーディネータ(ウェブコーディング・植木信子、デジタル加工・八木朋子)、メディカルイラストレーター(山西常美)、データ コンバージョン(赤松敬子)です。それぞれプロフェッショナルなスキルを結集して取り組んでいます。
作:神経病理解析室 八木朋子