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トピックス

東京都医学研・脳神経病理データベースを活用した
遠隔病理実習の運用

副所長・データベース管理者新井 信隆

脳神経疾患の病理画像を搭載している本データベース(DB)は、アクセス解析の開始から約2年が経過し、これまで47の国と地域、987の都市から、約76,000アクセス、約336,000ページ閲覧を数えるDBに育ち、昨年8月には、国立国会図書館DBナビゲーションシステムにも登録されました。さらに、H25年度からは、医学部における脳神経系の遠隔病理実習も開始し、脳神経病理学習の国際標準DBを目指しています。

現在、バーチャルスライド機器で高精度にスキャンされた病理標本のデジタルデータは約1,000件にのぼり、専用サーバに搭載されています。さらにこのサーバ内には、様々な利用者向けのグループルーム(GR)が設置され、利用者限定の画像や教材を各GR内で閲覧することが可能になっています。一番大きなGRは、主に都立病院のドクター向けの「東京都・脳病理アカデミー」というGRであり、また、連携病院における病理診断に関する共同研究のGRも小規模ながら複数、運用されています。

これらに加え、H25年度から新しく、脳神経疾患の遠隔病理実習のGRを設置して、これまでに横浜市立大学、東京慈恵会医科大学、杏林大学によって利用されてきました。昭和大学との間でも、次年度での運用に向けて協議を開始したところです。

具体的には、医学部生にとっての必修画像を、各大学専用のGRに搭載し、実習の際には、学生がインターネットにより実習室(各自パソコンが使える部屋)から医学研のDBサーバ内の各大学専用のGRに入室して、学生自身のパソコンモニター上で倍率や視野をマウス操作で変換しながら、画像を閲覧して実習を行います(下写真)。加えて、学生に個別の入室許可証(アカウント)を発行しているので、ウェブ上で小テスト・レポート提出も行い、それぞれの学生の習熟度の評価も行うことができます。

脳神経系の病理標本はどこの大学にでもある、というものではありません。医学研が脳神経病理のe-ラーニング教材を開発・提供してゆくことにより、日本だけでなく、やがて世界中の脳神経病理教育において、中心的な役割を果たすことになることは、夢ではないと思っています。

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