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開催報告

第5回都医学研都民講座 (平成28年10月20日実施)

 「うつと認知症 ~健康長寿社会の実現に向けて~」

うつ病プロジェクトリーダー楯林 義孝

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10月20日に一橋講堂において九州大学大学院教授の神庭重信先生を講師にお迎えし、 「うつと認知症 ~健康長寿社会の実現に向けて~」 という話題で第5回都民講座を開催致しました。

講演では、最初に私が「ストレスとうつ・認知症」というタイトルで、日本の高齢化の現状、うつ病・認知症、そしてストレスとの関連について概説しました。うつ病は認知症発症の最大の危険因子の一つです。また、私たちがプロジェクト研究で行なっているうつ病モデル動物を紹介し、ストレスとうつ、そしてうつ病の先にある認知症の予防を視野に入れて研究を行なっていることをわかりやすく説明しました。

次に、神庭先生から認知症の中核症状である物忘れ、精神行動学的な周辺症状、家族が気付きやすい具体的初期症状などのご説明がありました。認知症でもとりわけ大きな割合を占めるアルツハイマー病の患者数は近年増加しています。九州大学で長年行なわれている福岡県久山町における疫学調査 (久山町研究) でもそのような調査結果が出ており、血圧や糖尿病などの生活習慣病、喫煙や食事内容によって認知症発症が増加することが報告されました。逆に運動や和食、野菜、牛乳・乳製品の摂取が、認知症予防につながる可能性があることも久山町研究から判明しているとのことでした。

講演後の質疑応答では、認知症の危険因子に関するものや、うつの治療に関する質問が多数寄せられ、充実した講演会となりました。また、アンケートも好評でうつ・認知症に関して多くの方に理解を深めていただいたと思います。

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