HOME広報活動刊行物 > Jan 2017 No.024

開催報告

第4回都医学研都民講座 (平成28年9月15日実施)

 「高齢者のてんかんと認知症~よく似た症状を見分け、正しい治療を受けるために~」

シナプス可塑性プロジェクト 主席研究員島田 忠之

写真

今回の都民講座では、新宿神経クリニック院長の渡辺雅子先生、横浜市総合保健医療センターの塩崎一昌先生を迎えて、高齢者が発症するてんかんと認知症との症状の類似性を中心とした発表を行いました。

まず私が、 「てんかん」 の定義を紹介するとともに、高齢で発症するてんかんは、一般的なてんかんのイメージとは異なり、けいれんを起こしたりせず、小さな動きや記憶障害、意識障害に留まることを説明しました。また、一部のてんかんモデル動物においても、まず記憶力の低下が見られることを紹介しました。

次いで渡辺先生から、高齢で発症したてんかん患者さんの症例を紹介していただきました。家族は認知症と思っていたけれども実際はてんかんであった例や、発作の様子を動画で紹介していただきました。また、てんかんは誰でもかかりうる病気であると家族が認識することの大事さなどをお話しいただきました。

最後に塩崎先生から、物忘れ外来に来られる患者さんの診断例についてお話しいただきました。一部の患者さんではてんかん特有の脳波が見られ、抗てんかん薬の投与で症状が改善される例もあり、認知症とてんかんを鑑別し、正しい治療を受けることの大切さを説明していていただきました。

質疑応答でも、一見しててんかんとは思えない症状に対して家族が注意を払うことの大切さに関しての質問を多くいただき、聴衆の方々に高齢発症のてんかんについて理解を深めていただけたと思います。

ページの先頭へ