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都内主要繁華街の夜間滞留人口が新型コロナウイルス感染症の拡大と関連することを解明

社会健康医学研究センター長西田 淳志

英国科学雑誌Natureに2020年に発表されたChang et alの論文では、様々なサービス施設の中で、アルコールの提供を含む飲食店が最も新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高いことが報告されています。こうした先行研究の知見を踏まえ、本研究では、アルコールの提供を行う飲食店が密集する主要繁華街に、レジャー目的で夜間に滞留する人口の増減が、その後の新規感染者数(発症日基準)や実効再生産数の増減と関連することを明らかにしました。感染者数拡大に先行する指標として、主要繁華街の夜間滞留人口をモニタリングすることの有用性を示唆しています。

このデータ分析には、東京大学空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授、並びにLocationMind社の協力によって開発された「レジャー目的」の人流・滞留人口を、匿名化されたスマートフォンGPSデータから抽出する技術が応用されています。この人流データは、いわゆる単なる“人出”のデータではなく、人々の過去の行動パターンから、自宅や職場での滞留を除いた、レジャー目的のみの繁華街滞留人口を抽出しています。東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議や厚労省アドバイザリーボードなどでは、この繁華街夜間滞留人口が重要な人流指標として活用されています。研究成果は、2021年5月11日にデジタルヘルスの医学専門誌『JMIR mHealth and uHealth』にオンライン掲載されました。

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