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開催報告などを掲載しています。



平成28年8月1日〜8月5日

基礎・技術コース「神経系への遺伝子導入法」を実施しました。

会場:東京都医学総合研究所

神経系に遺伝子を導入することは、神経系での遺伝子の働きや、細胞動態の解析に重要です。通常の培養株細胞に遺伝子を導入するのは比較的簡単ですが、神経細胞に導入するのは簡単ではありません。とくに、生きた個体の脳の神経細胞となると、特別な方法が必要です。わたしたちは、その方法として、子宮内エレクトロポレーション法とウイルスベクター法を用いています。今回、この二つを中心に実習をしました。そのほか、それに関連して、マウス胎児の大脳皮質からの初代培養や簡単な遺伝子工学作業の実習を行いました。大学助教2名、大学院生1名、医学生1名、計4名が参加してくださり、みなさん熱心で、巧みな実験の工夫など、こちらに感心することの多いセミナーでした。

(神経細胞分化プロジェクトリーダー 岡戸 晴生)


写真:実習の様子




平成28年8月3日〜8月4日

「都立高校生のための都医学研フォーラム」を開催しました。

会場:東京都医学総合研究所

8月3日、4日の2日間、東京都教育庁の協力の下に(公財)東京都医学総合研究所において「都立高校生のための都医学研フォーラム」を開催しました。

このフォーラムは、医科学・生物学研究に興味を持つ都立高校の生徒たちに、都医学研の研究成果を分かりやすく伝え、研究室や中央の機器室等で実験や機器操作を実際に体験してもらうことにより、研究への理解を深めて将来的には進路選択の一助となることを目的としています。都立高校17校から合計69名の生徒さんが参加しました。

午前は、ゲノム動態プロジェクトリーダー 正井 久雄 副所長から「ゲノムに隠された秘密を解き明かす」というテーマで、DNAとゲノム、染色体、細胞周期、エピゲノムなどについて、次に再生医療プロジェクトリーダー 宮岡 佑一郎 主席研究員から、「これから生命科学研究者を目指すかもしれない高校生への1つの指針」というテーマで、ご自身が研究者になるまでの経緯や経験、留学時代のお話などについて講演が行われました。

午後は、神経病理解析室や哺乳類遺伝プロジェクト研究室、電子顕微鏡室、依存性薬物プロジェクト研究室の4か所の研究室をそれぞれ40分ずつ順番に見学して、モデルマウスを使った実験やピペットマン等の機器操作を実際に体験してもらいました。

その後、講演をした研究者、見学をした研究室の研究員を交えての意見交換会が行われ、生徒さんたちから興味、疑問に基づく質問が出され大変活発な質疑応答が交わされました。


写真右:上から、正井副所長・宮岡研究員、質疑応答の様子

写真下:見学の様子/神経病理解析室(新井副所長)、哺乳類遺伝PJ・モデルマウスを使った実験(吉川研究員・鈴木研究補助員)、依存性薬物PJ・ピペット操作体験(青木研究員)、電子顕微鏡室(三上技術研究員)



平成28年7月25日〜7月28日

夏のセミナー 臨床教育コース「神経病理ハンズオン」

会場:東京都医学総合研究所

今年も7月25日から4日間にわたって「神経病理ハンズオン」を開催しました。

基本は顕微鏡実習ですが、ホールスライドイメージを映すマルチモニターを用いて、観察のポイントをモニターで解説しながらの実習スタイルです。デジタル教材はデジタルパソロジーコーディネーターの植木さんと八木さんに作成して頂きました。

内部講師は、全体の統轄として神経病理解析室の新井信隆・副所長が務め、関絵里香・主席技術研究員が「染色法とミクロ」、小島利香・技術研究員が「デジタルパソロジー」というテーマで講義を行いました。

外部講師は、原田一樹先生(防衛医大法医学)に「頭部外傷」について、石澤圭介先生(埼玉医大病理)に「変性疾患」について毎年レクチャーをお願いしています。

実習中は、講義が終わった後も多くの受講生が残って熱心に顕微鏡を覗いている姿が印象的でした。実習後のアンケートでは沢山の症例を鏡顕できてとても勉強になったとのご意見が多く、受講者の方に有意義な4日間を提供できたことを大変嬉しく思います。

(文・小島利香)


写真右:上から関絵里香・主席技術研究員が染色法の選択などについてレクチャー、10人用ディスカッション顕微鏡で原田一樹先生が頭部外傷をレクチャー。

写真下:小島利香・技術研究員がデジタルパソロジーの最新情報をレクチャー。





平成28年7月29日

平成28年度 第3回都医学研都民講座を開催しました。

会場:一橋講堂

7月29日、公益財団法人東京都医学総合研究所は一橋講堂において、京都産業大学 生命システム学科教授 板野 直樹 先生を講師にお迎えし、当研究所の 神村 圭亮 研究員とともに「ヒアルロン酸の科学から健康長寿を考える」と題し、第3回都医学研都民講座を開催しました。

今回の講演では、最初に神村研究員から糖鎖についてのお話がありました。糖鎖とは糖が多数つながった一群の化合物であり、種類は様々であること、多くはタンパク質と一体となった糖タンパク質として存在しています。糖鎖は身体の中で、エネルギー源であり、細胞の形を維持し、他の細胞との間で情報をやり取りするなどの役割を担っています。

血液型は糖鎖の形で決まるという説明には、多くの聴衆から感嘆の声があがりました。その後、血液型に関するクイズを行い、さらに研究員が現在取り組んでいるヘパラン硫酸研究の説明を行いました。

次に板野教授からはヒアルロン酸の講演が行われました。そもそもヒアルロン酸は、競走馬の関節炎の治療のため関節液として使用してから注目を集めていました。糖鎖の一種であり、粘性、弾力性、保水性に優れています。ヒアルロン酸は、1934年に牛の目の硝子体から発見され、ヒトの体内の様々な組織にも存在しています。皮膚にあるヒアルロン酸は50歳を過ぎると急速に少なくなることがわかっています。ヒアルロン酸を飲めば増えるのかというと、明確にはわからないのが現状です。ただし、ヒトの細胞レベルの解析では、ストレッチを行うとヒアルロン分泌が促進され、ブドウ糖など適切な栄養を摂取することによりヒアルロン酸が作られるようです。最終的には適切な運動、適切な栄養補給が健康を保つためには重要であるというお話で終わりました。

講演終了後も熱心な受講者から質問が絶えず、とても充実した講演会となりました。


写真:右、上から神村研究員、板野先生、講演会、質疑応答の様子

写真:下、講演前に控え室にて(左から神村研究員、前田研究員、板野先生)




平成28年6月30日(木)〜7月1日(金)

第14回都医学研 国際シンポジウムを開催しました

会場:東京都医学総合研究所

6月30日と7月1日の2日間にかけて、第14回 都医学研国際シンポジウムを開催しました。主催者は、分子医療プロジェクトリーダーの芝崎太参事研究員です。昨年日韓国交正常化50周年記念の祝賀も含め実施予定でしたが、開催直前に韓国内でMERSコロナウイルスの感染者が増加したため今年に延期となっていました。芝崎研究員は、がん・感染症を中心とした分子標的の探索と解析を進め、分子標的による診断・治療法の開発などを目指す研究を行っています。

今回のシンポジウムには、研究交流覚え書きを締結した韓国の延世大学、高麗大学に加え、ソウル国立大学、江原大学の主要4大学から22名のトップクラスの研究者の参加を得て、活発な討論、意見交換が行われました。田中所長から開会の挨拶が行われた後、セッションが始まりました。

1日目第1セッションでは、当研究所の松田憲之研究員を座長に、5名の研究者からタンパク質分解についての研究成果を、第2セッションでは、当研究所の佐伯泰研究員から引き続きタンパク質分解について研究成果が披露されました。昼食を挟んで、第3セッションは、齊藤実研究員を座長に脳機能と変性疾患、第4セッションは小池智研究員を座長に感染症疾患、と充実した内容の講演が行われました。終了後には会場を変えて、医学研から研究員学生を含めた26名のポスターセッションが行われ、活発な議論が行われました。

2日目も正井久雄副所長を始め、原孝彦研究員、芝崎太研究員、糸川昌成研究員の4人の研究員を座長として各演者から研究成果が披露され、様々な分野から内容の充実した議論が展開されました。

公益財団法人東京都医学総合研究所では、研究者や医療従事者等を対象に最先端の研究領域や社会的注目度の高いトピックをテーマとした国際シンポジウムを今後も毎年開催していく予定です。


写真右:上から芝崎研究員、講演、セッションの様子、ポスターセッション

写真下:参加研究員の皆さんと

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