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開催報告

第5回都民講座:「ウイルス感染症と戦う」

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

講師:ウイルス感染プロジェクトリーダー小池 智
国立感染症研究所・エイズ研究センター センター長俣野 哲朗

小池 智

小池 智 研究員

俣野 哲朗

俣野 哲朗 先生

第5回都民講座が去る平成26年10月17日(金曜日)、千駄ヶ谷の津田ホールにて行われました。今回は『ウイルス感染症と戦う』というテーマを掲げ、東京都医学総合研究所が主催し、文科省新学術領域研究班「ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤」の共催として行わせていただきました。本年もエボラウイルスのアフリカでの流行や我が国でのデングウイルスの流行があり、ウイルス感染症に関する関心や危機感が高まっているところです。そのような背景もあり、当日108名の方々が講座に参加されました。

講座はまず、筆者がウイルスの特徴、感染のメカニズム、ウイルスと宿主の戦いについて概説しました。その後私が「手足口病の重症化を探る」というタイトルで、近年アジア諸国で大きな流行を見せているエンテロウイルス71による手足口病の現状を概説し、その対策として我々が行なっている都プロジェクト研究並びに新学術領域研究班としての取り組みについて説明させていただきました。続いて国立感染症研究所・エイズ研究センター・センター長の俣野哲朗先生に「エイズ克服へのチャレンジ」というタイトルで、現在の世界並びに日本にエイズの発症状況、発症のメカニズム、行政の取り組み、さらにご自身の研究であるエイズワクチン開発について非常に分り易い解説をしていただきました。

我が国では高校までの教育課程の中にウイルス感染症の教育はありません。従ってウイルス感染症に対する知識の浸透は非常に大切なことです。講座を通じてウイルス感染症研究の重要性と困難さはご理解いただくことができたのではないかと考えております。また、日頃は都民の方々に直接研究成果を伝える機会はあまりないので、この機会に基礎研究から都民への還元の連続性を考えることの重要性を再認識することができた次第です。一部の方々から内容が難しいとお叱りも頂きましたことは反省点として、ご参加いただいた方々に深く感謝申し上げます。 

ゲノム医科学研究分野 小池 智

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