HOME広報活動刊行物 > January 2015 No.016

開催報告

第8回 国際シンポジウム

主催:依存性薬物プロジェクト リーダー池田 和隆
主席研究員笠井 慎也

2014年9月5日に、「痛みの調節とオピオイド機能」をテーマにした第8回都医学研国際シンポジウムを開催いたしました。エール大学、ペンシルバニア大学、トロント大学、UCLAから計4名のエキスパートを招聘し、国内からも当該研究分野の第一線でご活躍中の100名以上の先生方にお集まりいただき、10の講演と、その後に討論会を行いました。また、本年はちょうど池田が鎮痛薬・オピオイドペプチド研究会の世話人代表を務めているので、第34回鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウムを9月5、6日に当研究所で本国際シンポジウムと一部同時開催いたしました。

痛みとは“実質的または潜在的な組織損傷に関連する、あるいはこのような損傷を表わす言葉で述べられる不快な感覚・情動体験”です(国際疼痛学会の定義)。痛みは怪我や火傷など組織損傷を防ぐのに必要な防御反応ですが、過剰な痛みは不快感を惹起しQOLを低下させることから、早期に、そして適切に治療することが重要です。また、鎮痛薬による痛みの治療効果や副作用は個人で著しく異なり、効果的な疼痛治療を妨げる原因の一つに挙げられています。本国際シンポジウムでは、痛みの調節や鎮痛薬の作用に焦点を当てて、分子生物学、生理学、遺伝学といった様々な分野の専門家を招いて包括的な議論を行い、将来における効果的な疼痛治療法の確立を目指しました。

当該研究分野では、従来は行動薬理学的な研究が主流でしたが、現在はゲノム解析や詳細な分子レベルの研究手法が導入されてきていることや、依存症や快・不快情動発現との関連など心の研究と融合して研究分野が広がりつつあることを実感する機会となりました。

このようなシンポジウムを企画する機会をいただき、開催に向けて多くの方々からご支援いただき、当日も多数ご参加、ご協力いただきましたことに、心より感謝申し上げます。

参加者集合写真

参加者集合写真

精神行動医学研究分野 池田 和隆

 
ページの先頭へ