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開催報告

第9回 国際シンポジウム

International Symposium on Promoting Recovery of Young People with Psychosis:
The iFEVR and iphYs Joint Meeting in Tokyo 2014

主催:心の健康プロジェクト 主席研究員西田 淳志

少子高齢化の進む先進各国において、若者の健康と活力は、地域や社会の発展の基盤であり、それらに影響を与える疾病や障害の影響を最小限する取り組みや研究が求められています。先進国において若者の健康と生活に影響を与える最大要因は、精神疾患や自殺であり、それに対する効果的な予防やリハビリ法の開発が近年国際的に大きく進展しています。

統合失調症をはじめとする精神病性疾患は、主として若年期に初回発症します。幻聴や妄想といった症状がはじめてはっきりと出現したエピソードを「初回エピソード精神病」と呼び、そうした体験をしている若者に対してタイムリーに適切な支援を提供すること(早期支援)によって、より良い回復(リカバリー)を得られる可能性がこれまでの国際的な研究によって示唆されてきました。

第9回都医学研国際シンポジウムでは、「International Symposium on Promoting Recovery of Young People with Psychosis: The iFEVR and iphYs Joint Meeting in Tokyo 2014」というテーマのもとで、精神病性疾患を体験している若者たちの回復、特に、「就学・就労」と「身体的健康」の回復をいかに効果的に支援するか、についてこの分野の臨床研究をリードする各国の研究者、またサービスユーザーやその家族のメンバーが集まり、最新の臨床実践や研究動向について情報共有し、当該分野の今後の発展について活発な議論がなされました。

前半のセッションは、統合失調症など精神病性疾患を経験している若者の復学・復職の可能性を最大限に高めるための研究・臨床実践・政策を推進する国際的ネットワーク(iFEVR)の研究者、臨床家によるセッションで、各国の先進的実践、それに関する効果検証研究により統合失調症の若者の多くが競争的雇用に着くことが可能であること、また、発病後の就学継続支援がタイムリーかつ集中的に提供されることによって、その後の復学・復職可能性が大きく伸びることが報告されました。

後半のセッションは、統合失調症などの精神病性疾患を経験している若者の「身体的健康」を発病初期から保持・増進するための研究・臨床実践・政策を推進する国際寝ネットワーク(iphYs)の研究者、臨床家、サービスユーザー、家族ケアラーによるセッションで、統合失調症を経験している人たちの平均寿命が15~20年短いという身体健康格差を是正するための臨床実践や社会的取り組み、研究に関する包括的な議論が展開されました。

日本の取り組みの発表に対してスタンディンオベーションをする参加者

日本の取り組みの発表に対してスタンディンオベーションをする参加者

 
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