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演者 | 荒磯 裕平(金沢大学 医薬保健研究域保健学系 病態検査学講座 助教) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 2020年2月25日(火)16:00 ~ 17:00 |
世話人 | 松田 憲之 ユビキチンプロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
ミトコンドリアは外膜と内膜の2枚の膜構造をもつオルガネラで、生命活動に必要なエネルギー生産や様々な代謝反応を担っている。ミトコンドリアではたらくタンパク質の大部分はサイトゾルで前駆体タンパク質として合成されてから、外膜や内膜の膜透過装置(トランスロケータ)、膜間部やマトリクスのシャペロンの働きでミトコンドリア内に輸送される。TOM(Translocase of the outer mitochondrial membrane) 複合体は外膜に存在するトランスロケータで、βバレル型チャネルタンパク質Tom40と他の6つのサブユニットで構成される膜タンパク質複合体である。サイトゾルで合成された1000種類に及ぶミトコンドリアタンパク質前駆体はTOM複合体を通ってミトコンドリアへ取り込まれるが、TOM複合体の高分解能構造は長きにわたって不明であり、タンパク質輸送機構を原子分解能レベルで議論することはできなかった。最近、我々はクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いた単粒子解析法によってTOM複合体の精密構造を3.8Å分解能にて決定することに成功し、TOM複合体を構成する各サブユニットのアッセンブリー機構を解明した。さらに構造情報に基づいた生化学解析によって、TOM複合体のチャネル内部には前駆体タンパク質の性質に対応した2種類の通り道が存在し、出口で待ち構える各輸送経路の下流因子に前駆体タンパク質を別々に受け渡すことで、多様なミトコンドリアタンパク質の外膜透過を効率良く行っていることが明らかになった。本セミナーでは、クライオ電子顕微鏡解析によって明らかになったTOM複合体の構造と機能について議論し、ミトコンドリアタンパク質輸送に関する最新の知見を紹介する。