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2019年度 医学研セミナー

改良オーキシンデグロン法による迅速なタンパク質ノックダウンとゲノム維持研究への応用

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演者 鐘巻 将人(国立遺伝学研究所・分子細胞工学研究室 教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 2020年2月14日(金)16:00 ~ 17:30
世話人 佐伯 泰
蛋白質代謝研究室長
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

私たちは植物ホルモンオーキシンが植物内で引き起こす特異的分解経路を、異種細胞に移植することに成功した(Nishimura et al. Nature Methods, 2009)。このオーキシンデグロン(auxin-inducible degron: AID)法により、ヒト細胞内の標的タンパク質を迅速かつ高効率にノックダウンすることが可能になった(Natsume et al. Cell Reports, 2016)。本技術はすでに世界中の細胞生物学研究で利用されており、当研究室が開発したプラスミド材料はaddgeneから2500件以上配布されている。しかしながら、AID 法はオーキシン非添加時にも、標的タンパク質が弱く分解されてしまうという問題点がある。また、分解に必要なオーキシン濃度が比較的高いため、幹細胞やマウス個体への応用に困難があった。そこで、分子進化的手法により、これら問題点を克服した改良型AID法の開発に成功した。改良型AID法によるヒト培養細胞、マウス神経細胞への応用を示し、今後の生命医学研究における利用に関して議論したい。さらに近年注目されている、PROTACやSNIPER等の標的タンパク質分解薬開発への関連性も合わせて議論したい。最後にAID技術を用いた研究例として、ヒト細胞内のDNA複製を人為的に停止させた際に誘導される、バックアップゲノム維持メカニズムと細胞がん化の関連を議論したい。

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