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演者 | 瀬尾 憲司 新潟大学大学院歯科麻酔学分野(教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階BC会議室 |
日時 | 2019年9月30日(月) 17:00~ |
世話人 | 三五 一憲 糖尿病性神経障害プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
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研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
三叉神経第3枝の下歯槽神経は下顎骨内を走行し、舌および下顔面領域の感覚を支配するが、医原性損傷を受けて神経腫を形成し難治性の顔面疼痛を誘導させることがある。当科ではMR Neurographyで神経を形態学的に診断し、polyglycolic acid-collagen tube を用いて修復を行っている。術後、消失した感覚は味覚を含む全てが回復できたが、術後にdysesthesiaを生じるために治療法の選択・決定には未だ課題が残されている。
そこで様々な因子の末梢神経再生への影響を検討している。神経切断後は早期にマクロファージが損傷部に遊走しVEGF受容体が損傷部に誘導され、微小循環の新生が開始する。再生促進因子であるBDNFまたは抑制因子であるSemaphorin-3Aなどは、損傷局所に集積し「場」における軸索伸長・再生が調節される。さらにソニックヘッジホッグが活性化し、マクロファージ遊走に関与することにより、断裂した軸索の遠心方向への伸長に関与する。人工神経が損傷神経の再生を促進するという臨床所見は、損傷局所に「再生の場」形成が保持されることが影響しているためと考えられ、その「再生の場」における各種の因子が経時的に神経再生の予後、神経腫やdysesthesiaの形成に影響するものと考えられる。さらに顎骨内での損傷神経の再生は、BDNFによる周囲の骨再生にも影響するため、こうした損傷部の環境要因形成への影響も重要である。
最近では新たな再生法として脱分化脂肪細胞による末梢神経再生法の開発を検討している。