2015年12月16日
ユビキチンプロジェクト山野 晃史 研究員らの論文が the Best of JBC papers of the Week 2015に選ばれました。
Best of JBC papers of the Week 2015
米国科学雑誌「Journal of Biological Chemistry」は2015年に発表された論文(およそ2400報)の中から16の専門分野ごとに最優秀論文を1報選出します。
山野研究員らの論文はProtein synthesis and degradation (タンパク質合成と分解)の分野で最優秀論文として認められました。
Site-specific Interaction Mapping of Phosphorylated Ubiquitin to Uncover Parkin Activation(リン酸化ユビキチンの部位特異的相互作用マッピングからParkinの活性化を明らかにする)
http://www.jbc.org/content/290/42/25199.full
山野 晃史1, 2, Bruno B. Queliconi, 小谷野 史香, 佐伯 泰, 広川 貴次(産業技術総合研究所), 田中 啓二, 松田 憲之2
[1筆頭著者, 2責任著者]
パーキンソン病は神経細胞の減少により、ふるえや動作緩慢などの運動障害を生じる神経変性疾患です。高齢により発症するケースが多く、高齢化社会に直面する現代において根本的な発症原因の理解が強く求められています。
遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子として同定されているParkinやPINK1は細胞内の損傷ミトコンドリアを除去するために重要であることがわかっています。近年、松田憲之副参事研究員が率いるユビキチンプロジェクトを始め、国内外の複数の研究グループから1) PINK1が損傷ミトコンドリア上でのみ蓄積し、そこでユビキチンをリン酸化すること、2) リン酸化されたユビキチンによりParkinが活性化され、損傷ミトコンドリアに分解目印を付加することが報告されました。しかし、リン酸化ユビキチンがどのようにParkinを活性化するか、その詳細な分子機構は不明でした。本研究で、山野研究員はParkinやリン酸化ユビキチン分子に光架橋性側鎖をもつ非天然アミノ酸を導入し、架橋反応から両者の相互作用マッピングを作成するというユニークな手法を用いて、リン酸化ユビキチンとParkinの結合様式をモデリングすることに成功しました。
なお、受賞対象となった研究は、JSPS PRESTO, MEXT 新学術領域研究「脳内環境」「ユビキチン制御」、日本分子生物学会 富澤純一桂子基金、武田財団医学研究奨励、岩永智恵子パーキンソン研究基金のサポートの元に行なわれたものです。