Apr. 2021 No.041
脳神経回路形成プロジェクトリーダー丸山 千秋
「脳はどのようにしてできるのか? -脳ができる仕組みとその進化の歴史を紐解く-」と題して、サイエンスカフェをオンラインで開催しました。
コロナ禍の日曜日の開催とあってステイホーム中の中学生、高校生の若い世代を中心に多くの方にご参加いただきました。前半は、ヒトの心のありかとしての脳発見の歴史や、他の動物脳に比べた際のヒト脳の特徴、脳は騙されやすい面があることについてクイズも交えながら解説しました。ヒトと他の動物脳の一番の違いとして、哺乳類脳は6層構造からなる大脳新皮質を持つという特徴があることをお話ししました。それを実感していただくために、マウス大脳新皮質の層構造を実際の顕微鏡で脳深部まで撮影した画像をお見せし、層構造のでき方について説明しました。後半は、現在研究室で行っているサブプレートニューロンの新機能発見の話や、神経細胞移動と脳進化の関係についてお話し、最先端技術を用いた脳科学研究の話題にも触れました。
最後に、隈元拓馬主席研究員が、「(脳)進化について」と題して、進化の過程で、生物種ごとにどのような脳構造を持つようになったのかについてミニ講演を行いました。例えば、爬虫類では、嗅球が発達し、逆に小脳は小さく、鳥類では、嗅球は退化しているものの、視覚に依存するため中脳と、運動や平衡感覚に関わる小脳が発達しているなど、脳の形態は持ち主の身体の形や生理機能に対応していることをお話ししました。
講演中は研究室の学生さん(研修生)2名にも質問対応スタッフとして待機していただき、皆さんから次々とQ&Aに書き込まれる質問に回答いただきました。参加者アンケートでは、「脳の細胞が動く動画を見ることができ、とても面白かった」「このようなかたちで現在進行形の科学的研究に触れさせていただけて、とても得をした気持ちです」「脳のできる仕組みが分かりやすかった。学校の授業はもっとかたく、理解できない部分もあったので今回参加してよかった」といった御意見が数多く寄せられました。
後列左から研修生の和田さん、隈元研究員
前列左から研修生の阿知波さん、丸山プロジェクトリーダー