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開催報告

2021年度 第4回 都医学研都民講座(2021年9月5日 開催)
「痛みなくがん治療を受けるコツ」

依存性物質プロジェクトリーダー池田 和隆

東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部部長の住谷昌彦先生を講師にお迎えして、都民講座をオンライン方式で開催しました。

まず、「痛みに効く薬の基礎知識」と題して私が前座の講演を行いました。痛みに対応するには、個々人に適した鎮痛薬を適量で使うことが重要です。痛みのレベルに応じて、非ステロイド性抗炎症剤や、モルヒネに代表されるオピオイドという強い鎮痛薬を用います。また、個人によって鎮痛薬の効き方や副作用の現れ方が異なるので適量を用いることの重要性をお話ししました。

続いて、住谷先生から、「元気に、痛みなくがん治療を受けるコツ」と題してお話しいただきました。緩和ケアでは、患者とその家族のQOLに関わる痛みやその他の身体的・心理社会的な問題を早期に見つけて対応することが重要であり、苦痛が現れないように予防することが望ましいです。実際、苦痛の緩和のため早期から緩和ケアを受けて医療用麻薬を使用した場合、そうでない場合と比べ、がんで亡くなるリスクが低下します。また、がんに罹った場合、筋肉量の低下が往々にして起こりますが、この低下が治療の不成功や副作用の増強に関連することが、最近の研究で判明してきています。積極的に運動療法を取り入れると、身体機能やQOL等が改善します。さらに、肥満の場合、手術後の合併症の発症が多く、痛みの観点からも、手術後の傷の痛み、化学療法後の手足の痛みや痺れ、腰痛を悪化させるため、適正体重の維持が重要です。住谷先生の研究グループが見出された新たなメカニズムも交えてわかりやすくお話しいただき、参加者からご質問やご意見を数多くいただきました。

池田プロジェクトリーダー

池田プロジェクトリーダー

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