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電位感受性ホスファターゼでの膜電位とイノシトールリン脂質動態の連関とその生理的役割

演者 岡村 康司
大阪大学大学院医学系研究科
教授
会場 対面式(講堂)
日時 2026年2月13日(金曜日)16:00~17:00
世話人 齊藤 実
高次脳機能プロジェクト
参加方法 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

電位感受性ホスファターゼVoltage-sensing phosphatase (VSP)は、2005年にカタユウレイボヤのゲノム解析を契機に偶然見出された膜タンパク質で、単細胞真核生物からヒトにまで保存されている。VSPは、電位依存性チャネルに見られるのと同様な電位センサードメインと、イノシトールリン脂質脱リン酸化酵素領域を併せ持ち、膜電位の脱分極により、主にPI(4,5)P2をPI(4)Pへ脱リン酸化する(1)。

これまで、VSPの、一分子内で酵素活性が直接膜電位変化により調節される動作原理と、生体内での生理的意義の解明を目指して、長年研究を行ってきた。本セミナーでは、現在まで発現系細胞での電気生理学計測、光計測によって明らかにしてきた分子動作原理について紹介する。膜電位依存的酵素活性には膜貫通領域と酵素領域間の疎水的相互作用が重要であること、またPI(4,5)P2は酵素の基質であると同時に膜貫通領域と酵素領域間に結合して活性を調節する因子でもあることを明らかにした(5)。

またマウス精巣、魚類消化管において明らかになってきたVSPの生理的役割についても紹介する。マウスの精巣ではgerm cellに発現し、spermatidのステージから精子に成熟する過程で酵素活性が検出され、持続的なイノシトールリン脂質プロファイルの調節により正常な精子の運動機能を実現していることを明らかにした(2,4)。またVSPは魚類消化管上皮にも発現し、エンドサイトーシスの初期の過程に関わることがわかった(3)。

これらから明らかになってきた膜電位化学連関の新しい仕組みについて考察する。