| 演者 | 岡西 徹 鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 脳神経小児科学分野 准教授 |
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| 会場 | オンライン(Zoom) |
| 日時 | 2026年2月27日(金曜日)13:00~14:00 |
| 世話人 | 佐久間 啓 こどもの脳プロジェクト |
| 参加方法 | 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください |
| お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
結節性硬化症(TSC)は神経皮膚症候群の代表的疾患のひとつである。外胚葉もしくは中胚葉系である脳、眼、心臓、腎臓、皮膚などに過誤腫もしくは過誤組織を呈する。発生頻度は6,000-10,000人に1人であり、厚生労働省の指定する指定難病(告示番号158)や小児慢性特定疾病のひとつでもある。 TSCはTSC1もしくはTSC2遺伝子の機能喪失変異を起こし、mTORが活性化して過剰な蛋白合成や細胞増殖、細胞分裂を促すことで様々な臓器の症状・疾患を起こす。また脳に出現する皮質結節を中心とする大脳病変や関連する分子病態は、てんかんや結節性硬化症関連神経精神疾患(TAND:TSCに合併する知的発達症・自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・限局性学習症や思春期以後の心理精神的な問題)に関わる。
TSCの診断方法と疾患の認識は1908年にVogtがTSCの3徴候としててんかん、知的障害、顔面血管線維腫(皮脂腺種)を提案して広まった。その後知見が増え、現在は臨床症状について大症状11項目、小症状7項目を用いた診断基準が整備された。また同時に遺伝学的な診断基準も付け加えられた。
TSCのもうひとつの特徴として、各臓器の合併症状・疾患の発生年齢が異なることである。TSCでは新生児期には心筋腫瘍、乳幼児期にはてんかん、発達遅滞、発達障害と皮膚症状が問題となりやすく、その後は上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)、腎血管筋脂肪腫(AML)、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)、精神疾患などの管理が生涯にわたり必要とされる。そのため年齢に応じて検査と治療を組み立てる必要がある。
TSCの治療は臓器ごとの症状・疾患に合わせて行うが、近年TSC全体への治療薬としてmTOR阻害薬が登場した。mTOR阻害薬はTSC関連腫瘍やてんかんに特に効果を示し、生涯にわたる管理の概念もmTOR阻害薬を中心に考える様になってきている。