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Intrinsically disordered regionsの物理化学的特性による
転写因子のDNA 脱メチル化誘導能の予測

演者 鈴木 治和
理化学研究所 生命医科学研究センター 細胞機能変換技術研究チーム
チームディレクター
会場 対面式(講堂)
日時 2026 年2月20日(金曜日)16:00~17:00
世話人 川路 英哉
ゲノム医学研究センター
参加方法 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

転写因子依存性のDNA脱メチル化は、哺乳動物の発生や疾患に関わる特定のDNAメチル化プロファイルの生成に重要である。しかしながらDNA脱メチル化を促進する転写因子はごく一部しか解明されていない。我々は、どの転写因子がDNA脱メチル化誘導能を持つのかを体系的に予測することを試みた。転写因子RUNX1およびSPI1の欠失変異体を用いた実験により、この誘導能はIntrinsically disordered regions(IDR)と関連していることが示唆された。そこでDNA脱メチル化誘導能が確認されている8つの転写因子のIDRを調べたところ、これらの転写因子はDNA脱メチル化誘導能を持つIDRを少なくとも1つ持つことが明らかとなった。次に我々は機械学習を用いて、DNA脱メチル化誘導能を持つIDRの物理化学的特徴を調べた。DNA脱メチル化誘導能が陽性の26個のIDRと32個の陰性IDRを用いて、25個の物理化学的ファクターをランダムフォレスト法を用いて解析した。その結果、aromaticity, aliphatic index, fractional charge ratio (fcr)およびside chain hydrophobic density (shd)の4つのファクターが重要であることが明らかとなった。これらのファクターに基づくモデルでは、an area under the receiver operating characteristic curve(AUC)が0.84、閾値が0.304という高い予測精度が得られた。そこで、すべての転写因子のIDRにこのモデルを適用したところ、2364個のIDRのうち959個が活性有りと判定され、1308の転写因子のうち825個がDNA脱メチル化誘導能を持つことが予測された。このモデルは、以前に検証したDNA脱メチル化誘導能を持つ転写因子14例の全てを活性有りと正しく判定した。DNA脱メチル化誘導能を持つと予測された転写因子は、形態形成や発生に関連する遺伝子オントロジー(GO)の有意な濃縮が観察され、また、特定の癌タイプにおける臨床的予後と関連することが示された。高い予測性能を持つ本モデルとDNA脱メチル化誘導能を持つと予測された転写因子データは、DNAメチル化に関与する転写因子・生命現象のさらなる解析に有用と考えられる。