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イオンチャネルの構造機能連関研究の魅力

演者 久保 義弘
自然科学研究機構生理学研究所 神経機能素子研究部門
教授
会場 対面式(講堂)
日時 2026年2月13日(金曜日)15:00~16:00
世話人 齊藤 実
高次脳機能プロジェクト
参加方法 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

イオンチャネルは、神経や筋における興奮性の制御など、基本的な生理機能を担う膜タンパク質である。イオンチャネル cDNA のクローニング以降、異種発現系を用いた構造–機能相関解析によりその作動機構が明らかにされてきた。さらに近年の構造生物学の進展により、これらの研究は大きく加速している。本セミナーでは、イオンチャネル研究の「魅力」をお伝えすることを目指して 2つの研究成果を紹介する。

遺伝性 GIRK 変異体における新規イオン伝導経路

Gタンパク質制御内向き整流性K⁺(GIRK)チャネルは、脳や心臓をはじめとするさまざまな臓器において、膜興奮性の重要な制御因子である。K⁺チャネルはNa⁺に対して高いK⁺選択性を示し、この性質は中心孔に存在する選択性フィルターによって担われている。GIRKチャネルの選択性フィルター周辺の変異は、いくつかの遺伝性ヒト疾患と関連している。これらの病態は、中心のイオン透過路の変形によってイオン選択性が損なわれることに起因すると、直接的な証拠がないまま広く考えられてきた。我々は、必ずしもそうではないこと、すなわち、一部の変異体では、中心のイオン透過路に加えて、異常なイオン選択性を示す第2のイオン透過路が形成されることを明らかにした。

細胞外K⁺によってゲートされるCl⁻チャネル DmAlk

細胞外K⁺は、K⁺の平衡電位を規定することで膜興奮性に強い影響を与える。しかし、細胞外K⁺の結合によって直接制御される膜タンパク質は、動物ではこれまで報告されていなかった。DmAlkaはショウジョウバエの神経系に発現するCys-loop受容体型陰イオンチャネルであり、これまで細胞外pH感受性チャネルと認識されてきた。我々は偶然、DmAlkaが生理的濃度範囲の細胞外K⁺によって直接制御されることを発見した。さらに変異体の機能解析により、K⁺結合部位の候補を同定した。本研究は、東京都医学総合研究所の齊藤実博士および鈴木力憲博士(現・名古屋市立大学)との共同研究の成果である。