2016年3月16日
英国科学雑誌「Scientific Reports」に、認知症プロジェクト亀谷富由樹主席研究員、長谷川成人参事研究員らの論文が発表されました。
本研究に関する論文が英国科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。
http://www.nature.com/articles/srep23281
ALS患者の脳脊髄には核タンパク質の一種であるTDP-43が線維化、蓄積し、病気の発症や進行と密接に関係することが知られています。我々は、これまで抗体を用いた研究で、患者脳には異常リン酸化や断片化が生じたTDP-43が蓄積していることを報告してきました。しかしながら、抗体を用いた解析だけでは、その異常な部位や切断箇所を明らかにすることが困難であり、蓄積機序の解明のためには、より詳細な解析結果が必要でした。この論文では、患者脳に蓄積したTDP-43のリン酸化部位を含む翻訳後修飾、断片化する際の切断部位等をプロテオミクス的手法を用いて解析し、タンパク質化学的に初めて明らかにしました。
患者剖検脳に蓄積する異常TDP-43を分析し、TDP-43分子全体の9割をカバーするトリプシン消化、キモトリプシン消化ペプチドを回収しました。これらのペプチドの質量分析によって以下のことが判明しました。