2018年7月29日
神経細胞分化プロジェクトの平井志伸主任研究員、岡戸晴生副参事研究員は堀田耕司専任講師(慶應大学理工学部)とともに、AMPA型グルタミン酸受容体の発生における役割と進化における意義に関する総説を BioEssays に発表。表紙になりました。
本総説の概要:グルタミン酸は興奮性の神経伝達を司る。哺乳類中枢神経系において、AMPA型グルタミン酸受容体はカルシウム透過型と非透過型がシナプス後部に共存し、シナプス情報伝達、シナプスの可塑性を担っている。脊椎動物に対しより原始的と考えられるホヤの幼生では、カルシウム透過型受容体のみ存在し、それが松果体の相同器官である光受容器形成、一部のニューロンの成熟のほか、変態に必須であることを実験的に証明した(Hirai et al., 2017)。これらの知見からAMPA型グルタミン酸受容体の進化、非シナプスでの機能、ホヤ変態における神経ネットワークなどに関して、いくつかの仮説を提唱した(BioEssaysの表紙に採択されましたた:右図)。
ホヤ胚において、AMPA型グルタミン酸受容体は、発生の早い段階では、シナプスのない状態で陽イオンを細胞内に流入させることによって松果体の相同器官と考えられる光受容器の成熟を促し、その後、シナプスにおいて、情報伝達を司り、変態を促す