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開催報告

第38回 サイエンスカフェ in 上北沢(2021年12月18日 開催)
「体内時計って何? 24時間リズムの不思議。」

体内時計プロジェクトリーダー吉種 光

体内時計という言葉を聞いたことがあるでしょうか。どこかで耳にしたことがある人でも正確に説明できる人は少ないかもしれません。2021年12月18日(土曜日)に第38回サイエンスカフェin上北沢「体内時計って何? 24時間リズムの不思議。」を開催しました。講師は私、体内時計プロジェクトリーダーの吉種が担当し、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて残念ながらオンライン方式での開催となりました。

睡眠と覚醒のリズムのように、体温やホルモン分泌など様々な生理現象には毎日繰り返されるリズム性が観察されます。このように毎日繰り返すリズムは、腕時計を外して、外の環境リズムがわからないような状況でも規則的に繰り返し、周期は約24時間であることが知られています。この概ね一日周期のリズムのことを概日リズムと呼び、これを生み出す体内の仕組みを概日時計と呼びます。体内時計とは、その名の通りみなさんの体の中にある時計のことです。体内時計とは狭義では概日時計のことを指すことが多いですが、広義には、春になると花を咲かす桜や満月の日に産卵する魚のように様々な周期の時計を意味します。今回のサイエンスカフェでは、この約24時間周期のリズムの仕組みとして、時計遺伝子の説明から、概日時計がいかに重要で、これが乱れるとどんな不都合があって、これを理解して生活することにより皆さんの生活にどんなメリットがあるのか、最先端の論文の知見を含みながら、わかりやすく解説しました。例えば、若い人は高齢者よりも必要な睡眠時間が長く、夜型の人が多いです。ある学校での介入研究では、半分のグループの始業時間を1時間遅らせたところ、従来の始業時間のグループと比較して偏差値が有意に上昇したことが知られています。また、夜中の食事は太る、という経験則は科学的にも実証されており、この仕組みを理解して行動することにより、体内時計ダイエットが可能である、というお話をしました。

10代から80代まで幅広い年代の参加者からは多くのご質問をいただき、アンケートでは、「自分は中学生で、体内時計というワードしか聞いたことしかなかったのですが、とても分かりやすく、面白かったです。」といったご意見が数多く寄せられました。

吉種プロジェクトリーダー

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