Apr. 2022 No.045
感染制御プロジェクト 特別客員研究員小原 道法
都立・公社14病院の外来受診者の余剰検体を用いて、新型コロナウイルスの抗体を測定しました。測定は2020年9月1日から2021年3月31日にわたって実施され、延べ2万3,234人の検体を用いて抗体陽性率が解析されました。
2021年3月末までの年齢・性別・地域を補正した抗体陽性率は3.4%でした。今回解析したのは一般外来診療科の余剰検体なので、発熱外来や新型コロナウイルス陽性者を除外した無症状者が対象です。したがって、無症状のまま過去に新型コロナウイルスの感染が示唆された都民は47万778人(3.4%)いた計算になり、この人数はPCR陽性者として発表されていた都民の3.9倍にあたります。
また、新型コロナウイルスの核蛋白質(N抗原)に対する抗体は時間経過により低下しやすく、スパイク蛋白質(S抗原)に対する抗体の方が長期に維持されることから、両抗原に対する抗体価を測定することが重要であると示されました。
Serologic Survey of IgG Against SARS-CoV-2 Among Hospital Visitors Without a History of SARS-CoV-2 Infection in Tokyo, 2020-2021,
Journal of Epidemiology 2022 Volume 32 Issue 2 Pages 105-111.
https://doi.org/10.2188/jea.JE20210324