2024年10月3日
認知症プロジェクトの樽谷愛 理主席研究員・長谷川成人プロジェクトリーダーが参加した研究チームは、「タウ凝集を促進する領域を標的としたアルツハイマー病治療薬の開発」について Alzheimer’s & Dementia に発表しました。
ランカスター大学が率いる国際研究チームは、アルツハイマー病脳内に蓄積するタウタンパク質の凝集を促進する領域である「ホットスポット」に作用する新規治療薬候補の開発を行いました。アルツハイマー病やピック病に代表されるタウオパチーは、アミロイド線維状に構造変化したタウタンパク質の神経細胞やグリア細胞内蓄積を病理学的特徴とします。タウタンパク質の細胞内蓄積は後の神経変性を引き起こすと考えられており、タウ凝集を標的とした治療薬開発が行われております。今回の研究では、タウ凝集の促進に働くと知られている306VQIVYK311と275VQIINK280の両領域をターゲットとする「RI-AG03」というペプチド阻害剤が開発されました。さらに「RI-AG03」のタウ凝集阻害効果は、試験管、培養細胞ならびにショウジョウバエにおいて確認されました。凝集を促進する領域にターゲットを絞ったペプチドベースの治療薬戦略は、タウオパチーだけなく、多くの神経変性疾患に対しても効果的な治療法の道を開く可能性があります。
この研究は、アルツハイマー病協会が発行する『Alzheimer's & Dementia』に発表され、ランカスター大学がサウサンプトン大学、ノッティンガム・トレント大学、東京都医学総合研究所、テキサス大学サウスウェスタン医療センターと共同で行いました。
詳細はランカスター大学からのプレスリリースをご覧ください。
こちら >> https://www.lancaster.ac.uk/news/promising-first-in-alzheimers-drug-development