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平成30年度
医学研セミナー

体内時計と生理機能 :「これまで」と「これから」

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 佐藤 章悟
University of California, Irvine (博士研究員)
会場 東京都医学総合研究所 2BC会議室
日時 平成30年11月1日(木)16:00〜17:00
世話人 齊藤 実 学習記憶プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

2017年のノーベル医学生理学賞が、時間生物学的研究に貢献した3名に贈られたことは記憶に新しい。驚くべきことは、生物の24時間サイクルの生物学的プロセス「概日リズム」に関する研究の歴史は比較的浅く、時計分子が発見・同定されたのは、つい20-30年前のことである。その後の急速な研究の進展によって、概日時計が生体の恒常性維持に深く関与していることだけでなく、シフトワークや時差ボケなどによる体内時計の乱れが、肥満や循環器系疾患、ガンなどの各種疾患のリスクファクターであることもわかってきた。特に、体内時計は代謝機能と相互に深く関わり合っている。体内時計分子がジェネティックなレベルで代謝関連遺伝子の発現の日内変動を制御すれば、代謝産物は時計機能をエピジェネティックなレベルで修飾する。我々の研究室では、様々な生理学的変化(老化など)、あるいはライフスタイルの変化(高脂肪食摂取、運動など)によって、体内時計と代謝の相互作用がどのように再編成されるのかを検討してきた。興味深いことに、代謝機能改善をもたらす運動の効果は、運動をする日内のタイミングに依存的であることが示された。体内時計の重要性が高まりを見せ、時間生物学的トランスレーショナルな研究が熱を帯びている中、我々も糖尿病の治療のための適切な運動療法のタイミングを検索している。本講演では、「これまで」と「これから」の時間生物学的研究について、所属研究室での研究内容を中心に紹介したい。

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