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平成30年度 医学研セミナー

iPS細胞と実験動物を用いた遺伝性難聴の治療法開発

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演者 神谷 和作
順天堂大学医学部 耳鼻咽喉科学講座 (准教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成30年12月21日(金)16:00〜
世話人 吉川 欣亮 哺乳類遺伝プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

先天性難聴は1000出生に1人の割合で発症しその半数以上が遺伝性難聴である。遺伝性難聴の原因遺伝子として世界中で圧倒的に検出頻度が高いのがギャップ結合タンパク質Connexin (CX) 26をコードするGJB2遺伝子である。CX26は蝸牛ギャップ結合の主要構成要素として蝸牛リンパ液のイオン組成を高電位に維持することで音の振動から神経活動への変換を可能としている。我々はCX26遺伝子改変難聴モデルマウスの解析から、CX26が内耳ギャップ結合プラーク(GJP)の集積化分子(assembly molecule)として機能し、内耳細胞においてギャップ結合の巨大分子複合体を集積・安定化させていることを解明した。このことからGJB2の変異が同複合体を劇的に崩壊させ、他のコネキシンを含む複合体タンパク質を有意に減少させる発症機構が明らかとなった(Kamiya, 2014, J Clin Invest, 2014, 124(4):1598-1607)。また、この病態をアデノ随伴ウィルスによる遺伝子治療で修復することにより、CX26欠損難聴モデルマウスの聴力を有意に改善させた(Iizuka, Kamiya, Hum Mol Genet, 2015; 24(13): 3651-3661.)。さらにGJB2変異型難聴の疾患モデル細胞を開発するため、iPS細胞から内耳ギャップ結合形成細胞の分化誘導を試みた。マウスiPS細胞の三次元培養から非神経外胚葉への分化誘導を行い、内耳ギャップ結合形成細胞の製造技術を開発した。CX26欠損難聴モデルマウスからiPS細胞を樹立し内耳ギャップ結合形成細胞を作製したところ、内耳におけるGJP崩壊の病態を体外で再現させることに成功した(Fukunaga, Stem Cell Reports, 2016, 7(6), 1023–1036)。現在、日本人に典型的なGJB2変異を持つ遺伝性難聴患者からのiPS細胞の樹立と疾患モデル細胞の開発が進んでいる。これらの疾患モデル細胞は遺伝性難聴の創薬や再生医療への活用が大いに期待できる。

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