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演者 | 大野 伸彦 自治医科大学医学部 解剖学講座 組織学部門 (教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成31年1月18日(金)16:00〜 |
世話人 | 三五 一憲 糖尿病性神経障害プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
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研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
髄鞘は脊椎動物の神経系において軸索を被覆し、跳躍伝導による速い神経伝達や軸索の長期的生存に重要な役割を果たしている。髄鞘は神経伝達に必要なエネルギーを低減させ、軸索におけるエネルギー産生の基質の輸送に関わると考えられており、そのため髄鞘疾患における軸索の変性には、軸索のエネルギー代謝の障害が関わると考えられてきた。ミトコンドリアは軸索のエネルギー産生に重要な役割を果たしており、有髄軸索ではミトコンドリアの多くは絞輪間部に静止して点在し、その間を比較的小さなミトコンドリアが両方向性に輸送されているが神経の興奮に伴って静止したミトコンドリアはCa2+依存的にランビエ絞輪部で増加する。脱髄に伴って静止した軸索のミトコンドリアの数と体積が増加するが、この静止ミトコンドリアの増加はミトコンドリアと微小管を結合するSNPHに依存し、SNPHの欠損によってミトコンドリアの減少と軸索変性が惹起される。これらの静止した軸索ミトコンドリアの多くは、数時間以上にわたって安定して存在しているように観察されるが、光変換型蛍光蛋白を用いた解析で、輸送ミトコンドリアとの頻繁な融合・分裂を繰り返していることがわかってきた。本発表では、生体内の膜性オルガネラの分布・形態解析に有用な連続電子顕微鏡画像の再構築による3次元微細構造イメージングについてもふれながら、髄鞘の形成や異常が及ぼす軸索ミトコンドリアの動態の変化とその役割について、最近の知見をふまえて議論したい。