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| 演者 | 平野 有沙 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 (助教) | 
|---|---|
| 会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 | 
| 日時 | 平成30年5月30日(水)16:00~ | 
| 世話人 | 宮岡 佑一郎(再生医療プロジェクトリーダー) | 
| 参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで | 
| お問い合わせ | 研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 | 
適切な睡眠リズムに基づき適切な量の睡眠をとることは、生体機能の恒常性を維持する上で極めて重要である。生物の睡眠パターンは遺伝的な要因を受けやすい。そのため、特徴的な睡眠パターンを示す家系の遺伝情報から睡眠制御に関与する新規メカニズムを提唱することが可能である。留学当時の所属研究室では、家族性睡眠相前進(Familial Advanced Sleep Phase)と短時間睡眠(Natural Short Sleep)を示す家系より同定した複数の新規遺伝子バリアントについて解析を行っている。私は、家族性睡眠相前進の家系において概日時計の中枢因子であるhCRY2遺伝子にAla260Thr置換を引き起こす変異を発見した。FADの結合ドメインに発生したアミノ酸置換は、ユビキチンE3リガーゼFBXL3との結合を強めることによりタンパク質の分解を促進していることを見出した。一方、転写因子hDEC2のPro384Arg変異が短時間睡眠の家系で発見されたが、マウスやハエにおいても睡眠時間の短縮を起こす。hDEC2-Pro84Argは野生型に比べて弱い転写抑制活性を示し、そのためDEC2のターゲット遺伝子である睡眠関連因子であるオレキシンの発現が上昇していた。これらの研究により、睡眠リズムおよび睡眠量の決定に関わる新規メカニズムを提唱し、その分子機構が広い種にわたって保存されていることを示すことができた。