2017年3月29日
米国科学誌「Journal of Clinical Psychiatry」 on-line版に心の健康プロジェクトの安藤俊太郎主席研究員らが 「水道水中リチウム濃度と思春期の心の健康」について発表しました。
天然微量元素であるリチウムは、我々が日常的に飲用する水道水中に微量に含まれている。この水道水中に含まれるリチウムの濃度は、地域や水道水源によって異なることが知られており、これまでの国内・国外の複数の研究によって、水道水中のリチウム濃度が高い地域では地域レベルにおける自殺率が低いことなどが報告されてきた。しかし、水道水中のリチウム濃度と個体レベルのメンタルヘルスとの関連を検証した研究は国際的にも皆無であった。我々は、中学生3000人以上の心の健康と学校の水道水中リチウム濃度との関係を世界ではじめて調査し、その結果、水道水中リチウム濃度は、中学生の抑うつ症状や暴力行為と負の関係を示すことを明らかにした。水道水中リチウム濃度が高いほど抑うつ症状が少なく、一年以内に他者に暴力を振るった経験が少なかった。本研究結果は、水道水中リチウムが抗うつ効果や抗攻撃性効果をもつ可能性を示唆するものである。