2017年8月31日
心の健康プロジェクト精神保健看護研究室の中西三春研究員が認知症の行動心理症状に対する心理社会的ケアプログラムの効果を実証した論文を国際老年精神医学雑誌 (International Journal of Geriatric Psychiatry) に発表しました。
行動心理症状は認知症の人の在宅生活が困難になる大きな要因であり、日本を含む各国の認知症施策において、行動心理症状に対する心理社会的ケアのアプローチ開発が共通した重点課題とされています。しかし従来のアプローチ開発では、ある特定の非薬物療法(例:運動療法、音楽療法)を提供する方法が採用されるために対応が認知症の人個々のニーズに必ずしも合致しないことがあり、行動心理症状の改善・減少効果は限定的でした。
当プロジェクトは東京都委託事業「認知症の人の地域生活を支援するケアプログラム推進事業」の中で、居宅介護サービス等の従事者がニーズのアセスメント・ニーズをふまえた心理社会的ケアの組み立て・実行および評価を一連のサイクルとして行うケアプログラムを開発しました。事業に参加する介護従事者および認知症を有する利用者さんを、ケアプログラムを導入する群(介入群)と通常のケアを行う群(対照群)とに分け、ケアプログラム開始前から6か月後の行動心理症状の変化を比較しました。介入群では有意に行動心理症状が減少し、対照群では行動心理症状に変化はみられず、ケアプログラムの有効性を示す結果となりました。
上記の成果を示した論文は国際老年精神医学雑誌(International Journal of Geriatric Psychiatry)のオンライン版に8月31日付で掲載されました。
西田淳志プロジェクト・リーダー(中央)、スウェーデンチームのカタリーナ・ネッガ准教授(右)と共に。
2015年11月、ルンド大学にて