東京都医学総合研究所のTopics(研究成果や受賞等)

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2022年4月21日
小原道法特別客員研究員らは、東京都の依頼に基づき、都内医療従事者の検体(血清)を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体を測定しました。

新型コロナウイルスワクチン接種後の抗S1-IgG抗体及び中和抗体価推移について

当研究所の小原道法特別客員研究員らは、東京都の依頼に基づき、都内医療従事者の検体(血清)を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体を測定しました。

実施概要

測定対象

  • 2回目のワクチン接種後の抗体価が測定されている都内医療従事者のワクチン2回目接種から約7ヶ月後(中央値:213日)及びワクチン3回目接種から約4ヶ月後(中央値:119日)の血清704検体

測定方法

  • 測定は新型コロナウイルスの表面蛋白質であるスパイク蛋白質(S1)に結合する抗体とウイルスの感染を防ぐ効果の有る中和抗体について、精密測定系(化学発光免疫測定系:CLIA等)を用いて実施

測定結果

  • 抗S1抗体の値は、3回目の接種により増加が認められた。
  • 中和抗体価についても、全検体で陽転が認められた。
  • 中和抗体価は各世代間で差は認められないが、中和抗体価が500以上の割合は20-30代:95.1%、40代:86.8%、50代:87.3%、60-70代:86.0%となっており、20-30代で高い傾向が認められる。
  • 3回目のワクチン接種後は、抗S1抗体、中和抗体共に高く維持されている傾向が認められる。
  • ワクチン接種の前後に感染歴があると、抗S1抗体、中和抗体共に高い傾向が認められる。

<検体情報>

検 体:
2回目のワクチン接種後の抗体価が測定されている都内医療従事者(計704人)
採血日:
2回目のワクチン接種から約7ヶ月後(中央値:213日)
3回目のワクチン接種から約4ヶ月後(中央値:119日)
検体情報

<測定方法>

測定方法

ワクチン接種後の抗体価

ワクチン接種後の抗体価

抗S1 IgG抗体価 [AU/mL] 医学研iFlash測定値

抗S1 IgG抗体価 [AU/mL] 医学研iFlash測定値

中和抗体価 [AU/mL] 医学研iFlash測定値

中和抗体価 [AU/mL] 医学研iFlash測定値

ワクチン接種後の抗体価の推移

ワクチン接種後の抗体価の推移

感染歴の有無による抗体価の比較

感染歴の有無による抗体価の比較

用語解説

1. S1-IgG :
ワクチンはS蛋白質を産生しているのでワクチンにより誘導された抗体価を示しています。S1抗原に結合する抗体がある事で,ワクチンに対して被接種者の免疫が反応した程度を示しています。この抗体の中にウイルス中和抗体も含まれています。10AU/mL以上が抗体陽性となります。
2. Nab(Neutralizing antibody):
ワクチンにより産生されたウイルス中和抗体価を示しています。感染防御に働く抗体です。10AU/mL以上が抗体陽性となります。

◆上記の公表に伴う東京iCDC専門家ボード座長コメントについて(東京都公式サイトより)

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