新型コロナウイルスワクチン接種後の抗S1-IgG抗体及び中和抗体価推移について
当研究所の小原道法特別客員研究員らは、東京都の依頼に基づき、都内医療従事者の検体(血清)を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体を測定しました。
実施概要
測定対象
- ワクチン4回接種3-4ヶ月後の医療従事者215名及び5回接種1-18日後の医療従事者12名の血清
測定方法
- 測定は新型コロナウイルスの表面蛋白質であるスパイク蛋白質(S1)に結合する抗体とウイルスの感染を防ぐ効果の有る中和抗体について、精密測定系(化学発光免疫測定系:CLIA等)を用いて実施
測定結果
- ワクチン4回接種3-4ヶ月後のS1-IgG抗体価及び中和抗体価は、3回接種4ヶ月後と比較して有意に上昇していた。
- ワクチン4回接種後抗体価は接種3ヶ月後まではほぼ横ばい、その後高い値ではあるものの早くに減衰するが、5回目のワクチン接種により4回目接種1-3ヶ月後と同等の値まで増加が認められた。
<測定方法>
SARS-CoV-2と中和抗体測定
<検体情報>
- 検 体:
- 都内医療従事者の血清
(計310人 うち男性55人 (17.7%)、女性255人 (82.3%))
<検体情報>
4回目接種から3-4ヶ月
(計215人 うち男性38人(17.7%)、女性177人(82.3%)
抗体価
<検体情報>
ワクチン5回目接種
(計12人 うち男性5人 (41.7%)、女性7人 (58.3%))
ワクチン接種後の抗体価の推移及び5回目接種後の抗体価
用語解説
- 1. S1-IgG :
- ワクチンはS蛋白質を産生しているのでワクチンにより誘導された抗体価を示しています。S1抗原に結合する抗体がある事で,ワクチンに対して被接種者の免疫が反応した程度を示しています。この抗体の中にウイルス中和抗体も含まれています。10AU/mL以上が抗体陽性となります。
- 2. Nab(Neutralizing antibody):
- ワクチンにより産生されたウイルス中和抗体価を示しています。感染防御に働く抗体です。10AU/mL以上が抗体陽性となります。
◆上記の公表に伴う東京iCDC所長コメントについて(東京都公式サイトより)