東京都医学総合研究所のTopics(研究成果や受賞等)

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2022年12月8日
糖尿病性神経障害プロジェクトの高久静香研究員、三五一憲プロジェクトリーダーらは「マクロファージRAGEシグナルの亢進が糖尿病性神経障害の発症・増悪に関与する」についてJCI Insight に発表しました。

マクロファージRAGEシグナルの亢進が糖尿病性神経障害の発症・増悪に関与する

当研究所 糖尿病性神経障害プロジェクトの高久静香研究員、三五一憲プロジェクトリーダーらは、弘前大学大学院医学研究科分子病態病理学講座の遲野井祥助教、水上浩哉教授らとの共同研究により、糖尿病性神経障害の新規発症・増悪機序を明らかにしました。最終糖化産物受容体 (Receptor for Advanced Glycation Endproduct (RAGE))欠損マウスおよび後根神経節ニューロンの初代培養系を用いた解析により「糖尿病状態でRAGEを介したシグナルが活性化することにより、炎症誘導性マクロファージが末梢神経に集まり、インスリンシグナルを低下させ末梢側から中枢側への物質の輸送(逆行性軸索輸送)を障害する」ことを見出しました(図)。高久研究員は遲野井助教とともに、培養後根神経節ニューロンを用いた逆行性軸索輸送の解析を行いました。

研究成果は、2022年12月8日に「JCI Insight」に掲載されました。

<論文名>
“RAGE activation in macrophage and development of neuropathy in mice with experimental diabetic polyneuropathy”
<発表雑誌>
JCI Insight (2022年12月8日掲載)
DOI:10.1172/jci.insight.160555

詳しくはこちらへ(弘前大学HP)https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/81543/

図. マクロファージAGEs-RAGEシグナルを介した糖尿病性神経障害の発症・増悪機構
図 マクロファージAGEs-RAGEシグナルを介した糖尿病性神経障害の発症・増悪機構
(上)糖尿病により増加したAGEsがマクロファージ上の受容体RAGEと結合する。マクロファージは炎症誘導性形質 (M1優位)となり、末梢神経のインスリン感受性を低下させ、逆行性軸索輸送を障害する。その結果として後根神経節 (DRG)ニューロンの細胞体が萎縮し、神経機能が低下する。
(下)RAGEが欠損したマクロファージは抗炎症性の形質 (M2優位)となり、末梢神経のインスリン感受性は維持され、逆行性軸索輸送も保たれる。DRGニューロンの細胞体萎縮や神経機能低下は起こらない。

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