2022年12月27日
感染制御プロジェクトの真田崇弘主任研究員、小原道法特別客員研究員らは「新型コロナウイルスワクチンの3回目および4回目接種による抗体応答の評価」について国際学術誌 Journal of Infection and Chemotherapy に発表しました。
感染制御プロジェクトの真田崇弘主任研究員、小原道法特別客員研究員らは、都内医療従事者の検体(血清)を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体を測定しました。この研究成果は、2022年12月27日(火曜日)に国際学術誌『Journal of Infection and Chemotherapy』(電子版)に掲載されました。
新型コロナウイルスに対するワクチンは日本をはじめ、世界中で接種されています。日本では、これまでに80%以上の方がワクチンを2回接種していますが、2回目接種以降、時間の経過とともにワクチンの効果が減少していくことが明らかとなっています。そのため、3回以上のワクチン接種が勧められていますが、追加接種による抗体応答の長期的な評価はあまり行われていませんでした。
本研究では、東京都内の医療関係者を対象に、ファイザー社の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体応答の推移について解析しました。調査は3回にわたって行われ、ワクチン2回目接種7ヵ月後にあたる第1回調査には1,138人、ワクチン3回目接種4ヵ月後にあたる第2回調査には701人、ワクチン3回目接種7ヵ月後にあたる第3回調査には417人(ワクチン4回目接種40人を含む)が参加しました。
ワクチンの3回目接種により、抗体価の上昇がみられ、接種7ヵ月後においても、2回目接種の同時期よりも抗体価が高く維持されていました(図1)。また2回目接種後では年齢が高いほど抗体価が低くなる傾向がみられましたが、3回目接種後では年齢による差は認められませんでした(図2)。さらにワクチンの4回目接種により抗体価がさらに高くなることもわかりました(図3)。
本研究により、新型コロナウイルスワクチンを3回接種することで、2回接種後よりも抗体価が高く、長期にわたって維持されていることがわかりました。これらの結果は、新型コロナウイルスワクチンのブースト接種の効果解明に有用であると考えられ、ワクチンの接種間隔の最適化につながることが期待されます。
本研究は、東京都による研究費「新型コロナウイルスワクチンに係る抗体保有に関する研究」により実施しました。