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演者 |
佐藤 雅昭 東京大学医学部附属病院 呼吸器外科 講師 |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成29年2月9日(木)16:00~17:00 |
世話人 | 原田 高幸 (運動・感覚システム研究分野 分野長 視覚病態プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
研究を進め,その結果を世に送り出すのは容易なことではありません.これを成し遂げるためには,まさに天の時(タイミング),地の利(どこで研究するか),そして人の和が大切だと思います.中でも人の和は戦(いくさ)に限らず,研究においても最も重要な要素だと思います.本講演では,研究の細かな部分はさておき,臨床医として,また研究者として,これまで取り組んできた課題を紹介しながら,その中で学んだことをお話ししたいと思います.具体的には下記の内容を予定しています.
1) トロント大学大学院で肺移植の研究(移植肺の組織リモデリングとリンパ組織新生)をはじめ,PhD取得後さらに肺移植の実臨床を経験する中で,肺移植後慢性拒絶の予後不良なphenotypeとしてrestrictive allograft syndrome (RAS)を発見,確立した経緯.
2) 帰国後,早期肺がんの発見が増えており,手術中に病変部位を同定することが困難であることから,京都大学で手術前にバーチャル画像を駆使して気管支鏡下に肺に「地図」を描き手術をガイドするvirtual assisted lung mapping (VAL-MAP)を開発した経緯.また東京大学に異動し,保険収載を目指してVAL-MAPを先進医療にもちこんだ経緯.
これらの臨床・研究の過程で,どのようなネットワーク(人の和)を構築し,場所とタイミングを計って研究を進めたのか.また,研究や論文執筆にはどのような困難が伴い,それらの困難をどのように突破したのか.とくに拙著『なぜあなたは論文が書けないのか?』『なぜあなたの研究は進まないのか?』の中から,「直感を磨いているか」「よく眠っているか」「一歩前に進んでいるか」「殻に閉じこもっていないか」「常識にとらわれていないか」「感謝しているか」「論文作成の大部分は単純作業と認識しているか」「データさえ揃えば論文はすぐに書けると思っていないか」「論文の核になるデータがあるか」「今やっている研究の仮説と意義を1分で説明できるか」「Rejectされて心が折れていないか」「夢・目標を共有できる仲間として,後進を引き受けられるか」など,広く役に立つと思われるエッセンスを盛り込んで研究者のみなさんと共有したいと思います.