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平成28年度 医学研セミナー

TDP-43とオートファジー

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演者 橋本 唯史
東京大学大学院医学系研究科 神経病理学分野 特任准教授
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成29年3月9日(木)17:00~18:00
世話人 長谷川 成人(認知症・高次脳機能研究分野 分野長 認知症プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

TDP-43陽性封入体の出現は前頭側頭葉変性症の病理学的特徴であるが、TDP-43がどのように神経変性に関与するのか、その機序は未だ不明である。我々はTDP-43が神経変性を引き起こす可能性を考え、複眼神経にTDP-43を過剰発現するTDP-43トランスジェニックショウジョウバエ (TDP-43 tg fly)を作出し、その神経変性機構の解析を行ったので研究成果を紹介する。

TDP-43 tg flyは進行性の複眼変性を呈するが、家族性筋萎縮性側索硬化症の点突然変異を持つTDP-43 tg flyは複眼変性を増悪させること、一方、TDP-43のRNA結合能を欠損させた変異TDP-43 tg flyでは、複眼変性を引き起こさないことが分かり、TDP-43はRNAとの結合を介して神経変性を引き起こすことを明らかにした。また、TDP-43と結合して下流で神経変性に関与する遺伝子を探索し、オートファジー関連遺伝子Atg1がTDP-43 tg flyにおける神経変性に関与することを見出した。さらに、培養細胞系においてTDP-43はAtg1の哺乳類ホモログUlk1の発現を制御することにより、オートファジー活性を制御することを見出した。これらの結果は、前頭側頭様変性症の発症に何らかのオートファジー経路の異常が関与する可能性を示唆するものである。

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