− この都医学研セミナーは終了しました。 −
演者 |
吉田 知之 富山大学大学院医学薬学研究部(医学) 准教授 |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階 B、C会議室 |
日時 | 平成29年3月27日(月)14:00~15:00 |
世話人 | 山形 要人 (脳発達・神経再生研究分野 シナプス可塑性プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
中枢シナプス形成の一端はシナプスオーガナイザーと呼ばれるシナプス前終末およびシナプス後部構造の分化誘導シグナルを惹起する膜受容体様分子が担うことが知られている。これまでにおよそ10種類程の膜タンパク質や分泌タンパク質にこのようなシナプス誘導活性があることが報告されている。実際に私達の脳内では1千億もの神経細胞から張り巡らされる神経突起が、混線を回避して標的特異的にシナプスを形成しており、少数のシナプスオーガナイザーがどのように標的選別分子群と共役して、それを可能にしているのかは大きな謎である。
私達は新規シナプスオーガナイザーとして受容体チロシン脱リン酸化酵素PTPδを同定し、その細胞外Igドメイン内に数アミノ酸をコードする少なくとも3つのマイクロエクソンが挿入されることによる高度なスプライス多様性を持つことを発見した。PTPδのマイクロエクソン選択パターンは脳部位、発達時期によって変化していた。PTPδ組換えタンパク質をコートしたビーズと神経細胞を共培養すると、ビーズに接する神経細胞に人工的にシナプス後部構造を分化誘導することができる。PTPδスプライスバリアントは選択するマイクロエクソンの配列に応じてそれぞれ異なるシナプス誘導特性(シナプス誘導強度と誘導されるシナプスの興奮性・抑制性の差)を持つことが判った。更に、PTPδスプライスバリント特異的リガンドの網羅的探索、PTPδ/リガンド複合体のX線結晶構造解析等から、マイクロエクソンによってコードされるペプチドがシナプス標的選別とシナプス誘導調節のプロテインコードであることが示唆された。本セミナーではシナプスオーガナイザーの標的識別因子としての新しい機能等について最新の研究成果を紹介する。