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平成28年度 医学研セミナー

認知症と異常タンパク質 —前頭側頭様変性症の臨床病理を中心に—

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演者 新井 哲明
筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成29年3月9日(木)18:00~19:00
世話人 長谷川 成人(認知症・高次脳機能研究分野 分野長 認知症プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

アルツハイマー病をはじめとする多くの認知症疾患においては、タウ、αシヌクレイン、TDP-43といった特定のタンパク質が細胞内に凝集蓄積する。細胞内蓄積タンパク質は線維化し、リン酸化。ユビキチン化、断片化などの翻訳後修飾を受けており、特にタウとTDP-43はその凝集物の構造が疾患の臨床病理像を規定している。これら異常蛋白に焦点を当てた研究の進歩により、病態機序に関する新たな仮説が提唱されるとともに、診断法および治療法開発が進んでいる。すなわち、これらの凝集物は細胞間を伝播し、また伝播の際に表現型が保持されるというプリオン病様の性質を示すことが明らかとなってきた。動物実験レベルでタウ、αシヌクレイン、TDP-43のワクチン療法の有効性が示され、タウのワクチン療法のヒトでの治験が始まっている。最近の画像研究(アミロイドPET)および病理学的研究からいくつか新しい概念も提唱されている。今後、タウPETを用いた研究により認知症の臨床診断および病態解明が進むことが期待される。今回は前頭側頭葉変性症の臨床病理を中心に、異常タンパク質と認知症の症状の関係について説明したい。

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