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平成28年度 医学研セミナー

周産期脳障害に対する幹細胞療法

演者 佐藤 義朗
名古屋大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター 新生児部門
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成28年12月14日(水)17:00~18:00
世話人 佐久間 啓 (脳発達・神経再生研究分野 こどもの脳プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

幹細胞を用いた再生医療/細胞療法は、様々な臓器や疾患に対し研究され、臨床応用されつつある。新規治療法の開発が急務である周産期脳障害に対してもその応用が期待される。

幹細胞療法における幹細胞には様々なものがある。その中で臍帯血幹細胞は、採取、使用に関する倫理的問題が少ない上、自己の細胞を移植すれば免疫拒絶反応に対する危惧も生じないため、最も臨床応用しやすい幹細胞源である。臍帯血幹細胞を用いた細胞療法の非臨床試験は、2006年のMeierらの報告から始まり、この数年で有効性を示す報告が増えてきている。我々が行った動物実験においても有効性が確認でき、本邦でも一昨年秋に第一相臨床試験を開始した。

一方、自己臍帯血を幹細胞源とすると出生時に採取する必要があるが、本邦では約半数の新生児が産科開業医で出生するため、採取できない例が相当数生じると予想される。自己臍帯血を採取できなかった症例にも対応するためには、入院後に採取可能な細胞や事前に準備できる細胞が必要である。その候補として、骨髄単核球や様々な組織から培養できる間葉系幹細胞が挙げられるが、なかでも間葉系幹細胞の数%を構成するMuse細胞は、その傷害組織へ遊走能、多分化能から次なる幹細胞として大きく期待される。

本講演では、周産期脳障害に対する幹細胞療法に関してのこれまでの非臨床試験の結果、および臨床応用への展望を解説する。

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