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演者 |
木村 宏 東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学ユニット 教授 |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成29年3月17日(金)16:15~17:15 |
世話人 | 正井 久雄 (東京都医学総合研究所 副所長) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
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研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
真核生物のDNAは、クロマチン構造を形成して存在している。クロマチンの主要な蛋白質であるヒストンの翻訳後修飾は、遺伝子発現状態の維持(エピジェネティクス制御)に重要な役割を果たしている一方で、発生や分化、細胞周期、外部刺激などに応じてダイナミックに変化する。我々は、発生・分化や刺激に応答したヒストン修飾と転写の動態を明らかにするため、各種ヒストン修飾に特異的なモノクローナル抗体を開発してきた。さらに、特異的抗体由来の蛍光標識抗原結合断片や遺伝子コード型プローブを用いて、蛋白質翻訳後修飾を生細胞で可視化する系を開発した。
これらの生細胞翻訳後修飾可視化系を用いて、グルココルチコイドによる転写活性化の際にヒストンH3K27のアセチル化が転写の開始から伸長に至る過程を促進することを明らかにした。このグルココルチコイド誘導性遺伝子では転写活性化前にH3K27がアセチル化されていたため、より抑制された状態からの転写活性化におけるヒストン修飾の役割を明らかにするために、熱ショックと胚性ゲノム活性化に着目して研究を進めている。これまでに、どちらの系においてもH3K27のアセチル化が転写に先立って起こることが示唆されている。これらのことから、急激な転写活性化にはヒストンのメチル化よりもアセチル化が重要であると考えられた。