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演者 |
久保 義弘 生理学研究所 神経機能素子研究部門 教授 |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成29年3月6日(月)17:00~18:00 |
世話人 | 岡戸 晴生 (脳発達・神経再生研究分野 神経細胞分化プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
膜電位依存性K+チャネルKv4.2は、KChIP4, DPP10などの副サブユニットと複合体を形成することが知られている。しかし、4量体のKv4.2に対して結合する副サブユニットの数、すなわち複合体中の量体数比(ストイキオメトリー)は確定していない。
我々は、蛍光タンパク質でラベルした副サブユニットをツメガエル卵母細胞に発現させて、電気生理学実験を行うとともに、全反射照明顕微鏡を用いた単一分子イメージング下で蛍光の消退ステップを数えることにより、ストイキオメトリーの確定を目指した。
その結果、(1) Kv4.2/DPP10複合体のストイキオメトリーは、両者の相対的発現レベルにより4:0から4:4の範囲で二項分布に従って変化すること、すなわち、4量体のKv4.2の4つの結合部位に対し、DPP10が独立にかつ確率的に結合すること、(2) Kv4.2/KChIP4複合体のストイキオメトリーは両者の相対的発現レベルにより4:0から4:4の範囲で変化するものの、4:2に明確なプレファレンスがみられること、(3) DPP10(もしくはKChIP4)の存在は、Kv4.2/KChIP4(もしくはDPP10)複合体のストイキオメトリーに相互に影響を与えないこと、が明らかになった。
最後に、Kv4.2/DPP10複合体のストイキオメトリーのプレファレンスの構造基盤、およびKv4/KChIP複合体のストイキオメトリーの柔軟性の生理的意義に関して議論する。