− この都医学研セミナーは終了しました。 −
演者 | 柳 茂(東京薬科大学・生命科学部 教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 講堂 |
日時 | 平成26年6月5日(木)16:00 |
世話人 | 田中 啓二 所長(東京都医学総合研究所) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
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研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
ミトコンドリアは融合と分裂を繰り返しながら微小管に沿って動的に移動している。 このようなミトコンドリアダイナミクスの破綻は、神経変性疾患などさまざまな病態を引き起こす。 私たちはミトコンドリア外膜を4回貫通する新規膜型ユビキチンリガーゼMITOLを発見し、MITOLが分裂因子であるDrp1を制御することによりミトコンドリアダイナミクスを調節していること(EMBO J. 2006)、およびMITOLがミトコンドリアに蓄積する変性タンパク質の分解を促進することより、ミトコンドリアの品質管理機構に関与していることを示した(Mol. Biol. Cell 2009, Mitochondrion 2011)。 最近、MITOLが一酸化窒素によってS-ニトロ化されたMAP1B-LC1を特異的に認識し、ユビキチン・プロテアソーム経路を介して分解を促進することにより、MAP1B-LC1の過剰蓄積によるミトコンドリア機能不全を防御していることを明らかにし、ミトコンドリアによる新しい酸化ストレス防御機構を示唆した(PNAS, 2012)。 さらに、MITOLがMitofusin2を活性化することにより、ミトコンドリアと小胞体との接着構造とカルシウム動態を制御していることを見出した(Mol. Cell 2013)。
本セミナーではミトコンドリアダイナミクスとミトコンドリアの品質維持におけるMITOLの役割を紹介すると共に、MITOLの臓器特異的ノックアウトマウスの作成と表現系の解析を通して、ミトコンドリア新機能の同定と破綻による疾患との関連性について考察したい。