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演者 | 小泉 修一(山梨大学 大学院 医学工学総合研究部 薬理学講座 教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 講堂 |
日時 | 平成26年11月17日(月)16:00 |
世話人 | 林 雅晴 参事研究員(脳発達・神経再生研究分野) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
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グリア細胞は電気生理学的には非興奮性であるが、非常に強い「Ca2+興奮性」を呈する。 このCa2+興奮性により、グリア細胞は様々な脳機能を制御していることが明らかとなったが、本講演では特に(1)グリア伝達及び(2)グリア性虚血耐性の2点について、グリア伝達物質として中心的な役割を果たすATPに焦点を当て述べる。 (1)アストロサイト及びミクログリアのATPグリア伝達は開口放出であった。 また、そのメカニズムにVNUTが関与していた。 さらにこのVNUT依存的ATP放出シナプス伝達をダイナミックに制御すること、また病態時の細胞外ATP濃度上昇の主たる分子メカニズムであることを示す。 (2)虚血耐性現象とは、先行して非侵襲的負荷(虚血)を経験すると、その後の侵襲的負荷に対して強力な抵抗性を獲得する現象である。
これまでの殆どの虚血耐性研究は、ニューロンに注目したものであったが、本研究でアストロサイトの重要性を明らかとした。 非侵襲的虚血により、ミクログリア及びアストロサイトが共に活性化するが、そのうちアストロサイトの活性化が虚血耐性獲得に必須であった(グリア性虚血耐性)。 グリア性虚血耐性の分子メカニズムとして、活性化アストロサイトでP2X7受容体(ATP受容体)の発現が亢進することが、必要条件であることを示す。 さらにP2X7受容体下流の分子メカニズムにも考察する。 グリア性虚血耐性は、slow-onsetであるが非常に持続的であり、本機能が内在性脳保護メカニズムとして重要な役割を果たしている可能性が示唆された。