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平成26年度 医学研セミナー

中枢神経回路の障害と修復のメカニズム

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演者 山下 俊英(大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学 教授)
会場 東京都医学総合研究所 講堂
日時 平成26年6月20日(金)16:00
世話人 原田 高幸 副参事研究員(視覚病態プロジェクト)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

視神経や脳・脊髄などの中枢神経は、いったん損傷すると回復が困難となる。 この原因として、中枢神経の再生力が低いことに加えて、神経回路の再生を抑制する機構が存在していることなどがあげられる。 近年、中枢神経の神経細胞の軸索の周りを取り巻く髄鞘の中に、軸索の再生を阻害する因子が複数あることが特定され、これらの因子が損傷した神経回路の再生を阻止すると考えられている。 一方で、中枢神経の不完全損傷の場合には、ある程度の機能の回復が長い期間のうちに自然にもたらされることがある。 実際に成体においても脳および脊髄で代償的な回路網の再形成が起こっていることが示されている。 例えば、脳損傷後に中脳や上部脊髄など様々な場所で、損傷を免れた軸索から側枝の形成がおこり、新たな回路が形成される。 最近の研究により、この代償性神経回路の形成現象とメカニズムが明らかになってきている。 上記のような研究は、神経系を独立した臓器として捉え、神経細胞-グリア細胞、あるいは神経細胞-神経細胞などの連関に着目したものである。 しかしながら、中枢神経障害の病態形成と機能回復の過程には、神経系のみならず脈管系、免疫系などの生体システムに時空間的変化をきたし、病態が形成される。 特に、脈管系と免疫系は、中枢神経回路障害と機能回復の過程に重要な役割を演じている。

本講演では、生体システムのダイナミクスの観点から神経回路障害を捉え、一連の反応の機構と意義について考察したい。

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