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演者 | 川浪 大治 講師(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成28年2月22日(月)16:00~17:00 |
世話人 | 三五 一憲 副参事研究員(糖尿病性神経障害プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
糖尿病治療の目的は合併症の発症・進展の抑制にある。近年、糖尿病の薬物治療は目覚ましい進歩を遂げ、従来に比べ厳格な血糖コントロールの達成が得られやすくなった。インクレチン関連薬のように血糖低下作用以外にも腎や血管、神経などの臓器保護作用が期待される薬剤が登場し、合併症対策に画期的な変革がもたらされつつある。しかしながら、これほどの進歩をみせた今日においても糖尿病合併症の克服には至っていない。このことは、従来のリスクファクターの管理だけでは不十分であり、残存するリスクファクターを探索する必要性を示している。糖尿病細小血管症と大血管症は密接な関係を維持しながら発症・進展する。両者には成因的共通項が存在することが示唆されており、この因子を標的とした新たな治療戦略の構築が求められている。
近年、この候補因子として低分子G蛋白Rho及びそのエフェクターであるRho-kinaseの関与が注目されている。高血糖や、インスリン抵抗性によって腎や血管など組織におけるRho/Rho-kinase活性が上昇し、これに伴って細胞機能が破綻することで糖尿病合併症の発症・進展がもたらされることが明らかにされている。
本セミナーでは、糖尿病合併症の発症機転におけるRho-kinaseの機能とその治療学的意義について論じたい。