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平成27年度 医学研セミナー

セラミドによる皮膚バリア形成

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演者 木原 章雄(北海道大学薬学研究院 教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成27年5月27日(水)16:00 ~ 17:00
世話人 村上 誠 参事研究員(脂質代謝プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

皮膚のバリアは病原体や有害物質の侵入、体内からの水分の蒸発を防いでいる。皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしているのが、表皮角質層に存在する脂質の多層構造体(脂質ラメラ)であり、スフィンゴ脂質骨格のセラミドが脂質ラメラの主成分である。セラミドは長鎖塩基と脂肪酸からなり、通常の組織では長鎖塩基としてスフィンゴシン、脂肪酸としてC16-C24飽和または一価不飽和脂肪酸が用いられるのみの比較的単純な組成を示す。しかし、表皮のセラミドは多様であり、長鎖塩基の種類、脂肪酸の水酸化状態、脂肪酸鎖長(C16-C36)の違いから数百種類が存在する。表皮セラミドの量の低下、組成の変化、鎖長の短鎖化はアトピー性皮膚炎と関連する。表皮に特徴的なセラミド分子種として脂肪酸のオメガ末端にリノール酸が付加したアシルセラミドがあり、皮膚バリア形成に必須である。アシルセラミド産生に関わる遺伝子の変異は皮膚疾患である魚鱗癬を引き起こす。

本講演では、表皮における多様なセラミドを産み出す分子機構と、未だ不明であるアシルセラミド産生経路の解明に向けた最新の知見を紹介する。

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