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演者 | 井上 剛 准教授(岡山大学・大学院医歯薬学総合研究科・生体物理化学) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成28年3月11日(金)16:00~17:00 |
世話人 | 岡戸 晴生 副参事研究員(神経細胞分化プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話(03)5316-3109 |
てんかんは、全人口の約1%が罹患する common disease である。治療には主に薬物療法が適用されるが、てんかん患者の約3割には既存の治療薬が有効でない。この「難治性てんかん」に有効な新薬が必要とされている。注目すべき点として、治療薬が奏功しない難治性てんかんに対して、「ケトン食療法」と呼ばれる“食事療法”が有効な点である。つまりケトン食療法には、既存薬にはない未知の作用機序があることになる。実際、ケトン食療法は1920年代に開発されたにも関わらず、「ケトン食療法に基づく治療薬」は未だ無く、開発に成功すれば画期的治療薬 (first-in-class) となる。我々は、脳のグリア細胞 (アストロサイト) から神経細胞へと乳酸を運ぶ代謝経路「アストロサイト-ニューロン乳酸シャトル」が、ケトン食療法による抗てんかん作用の鍵であることを見出すだけでなく、それに基づく治療薬開発方法も見出し、Science 誌に報告した。
本講演では、ケトン食療法によるてんかん制御機構に関して、我々の研究成果を紹介したい。